椿三十郎を観る

ひさしぶりに黒澤映画を観た。

やっぱり作りがしっかりしている。カラー時代の黒澤では考えられないほどよい。

だいいち脚本がよい。最初の5分で客のこころを捉えるすべを心得ている。画面の密度が違う。白黒の制約がいい方向に働いている。また、役者の演戯がきちんと統制されている。これは特に白黒時代の特徴だ。カラーになると役者の個性の出し方を黒澤自身も変えているように感じる。時代の移り変わりもあるのだろうが・・・。

テンポの緩急が心憎いほど絶妙だ。奥方たち女性だけが実にゆっくりと話す。男性陣の所作、台詞の速度との落差は計算ずみだ。これが客の心にある種の焦燥感を生み出し、事態の緊迫感、臨場感を巧みに引き出している。

幕切れ近く、救出された城代家老伊藤雄之助が奥方と同じスローテンポでしゃべる場面が笑える。そこでクライマックスでの緊張を緩めておいて、一気にラストの決闘へとなだれ込む。いい構成だ。

楽しく映画を(ヴィデオでではあるが)観たのは何年ぶりだろう。

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