2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

今日のシェイクスピアは『アセンズのタイモン』

¶ アテネの貴族タイモンは、友情に篤く、持ち前の気前よさから、困っているひとがあれば、莫大な財産を惜しみなく分け与え、豪勢な宴会を催していた。財産目当てに近づいてくる人々を友と呼び、その真意を疑わおうとしないタイモンを、皮肉屋の哲学者アペマ…

今日のシェイクスピアは『じゃじゃ馬ならし』

¶『じゃじゃ馬ならし』は劇についての劇といえる。登場人物の多くが演戯している。スライは領主になり、ルーチェンシオはキャンビオ(キャンビオはイタリア語で「交換」の意味)になりすます。トラーニオはルーチェンシオと役を取り替え、ホーテンシオはリチ…

今日のシェイクスピアは『ウィンザーの陽気な女房たち』

¶一説に、シェイクスピアが所属する劇団宮内大臣一座のパトロンがガーター勲章を授かり、その祝宴のために約2週間で書き上げた作品と言われている。『ヘンリー四世』を見たエリザベス女王が恋に落ちたフォルスタッフを見てみたいと望んで生まれたのがこの劇…

今日のシェイクスピアは『リチャード三世』

¶この劇の見どころは知識に応じて変わる。登場する人物同士がどんな関係にあるのか完璧に頭に入っていればどの場面も権力をめぐって展開される悲喜こもごもの人間模様として楽しめるが、この人物とあの人物はどうして仲が悪いのだろうか、と舞台を観ながら考…

今日のシェイクスピアは『終りよければすべてよし』

¶これは、夫から突きつけられた難問を、愛と知恵と勇気でみごとに解く痛快な女性の物語か、あるいは、策略でしか愛を得られない不幸な女性の物語か? 私に触れずに、私の指輪を手に入れ、私の子供を宿したなら、私を夫と呼ぶがよい。もし、あなたが、結婚し…

今日のシェイクスピアは『ロミオとジュリエット』

¶恋愛劇といったら『ロミオとジュリエット』というくらい有名だが、人気の秘密はなんだろう?好きになってはいけないひとを好きになってしまった悲劇、という禁断の恋の魔術が作用していることは確かだが、筋立ては意外にも単純だし、よくある話だ。敵対する…

今日のシェイクスピアは『ヴェニスの商人』

¶当時は一種のおとぎ話として楽しまれたものと推測される。インク壺にも書いたように、そもそも誰もユダヤ人を見たことがないのだ。同じようにベルモントという架空の場所で行なわれる筺選びにも現実感はない。しかし、作品は読者・観客とともに生きつづける…

今日のシェイクスピアは『ヘンリー五世』

¶オリヴィエ監督・主演の映画(1944年)は、第二次世界大戦という状況のもとでの国威発揚という政治的目的を多分に含んでいるとはいえ、今でも十分鑑賞に耐える芸術的価値を持っている。とくに、エリザベス朝当時のグローブ座にカメラが入ってゆく開幕は…

今日のシェイクスピア 韻文と散文

¶韻文 ちょっと難しいことばだ 簡単に言うと日本語の俳句や和歌のような文体のこと その反対は散文 例えば散歩の途中、気になる垣根があった よく見たらぺんぺん草が咲いていたこれが散文これを韻文で言うとよくみればなづな花咲く垣根かな(芭蕉)日本語で…

今日のシェイクスピアは『オセロー』

¶ 痛ましい劇だ。ひとを信じ、ひとを愛したことのあるものなら、誰でも、胸が痛む思いのする劇だ。批評家はオセローの人格的不統一を言う。確かに、自分に対して敵意を持つイアーゴを、誠実な人間と思いこみ、最後の最後まで信じこむさまは、あまりに愚かだ…

日めくりシェイクスピア名台詞

¶ちょっと頑張って作ってみた クリックするたびにランダムでシェイクスピアの名台詞を表示するページを ⇒https://ovid.web.fc2.com/speech/aspeechaday.html かつては何時間でもPCに向かっていられたが最近は目がすぐに疲れる もうしばらくはホームページの…

今日のシェイクスピアは『間違いつづき』

¶シェイクスピアの初期の作品とはいえ、登場人物をくわしく見ると様々な工夫が凝らされていることが分かる。何度も取り違えられる双子はほとんど区別がつかないように書かれてはいるが、よく観察すると旅人アンティフォラスと町人アンティフォラスのことばに…

ようやく拈華向

¶窯出し 久しぶりに思い通りの釉調が出た(勝手に《拈華向》と名付けている) 焼成条件はほとんど同じなのだが未熟なため10回に2回?くらいの成功率 未だに謎のままだ拈華向湯呑但しこの土合わせはかなり粗い石が混じっているせいで十中八九漏る!大抵は石ハ…

シェイクスピア喜劇『お気に召すまま』

¶ 『お気に召すまま』というシェイクスピア喜劇がある 不和、追放、森の生活、羊飼い、合唱、恋歌、片想い、恋愛遊戯、悔い改め、和解、結婚と、この劇には、幸福な喜劇のあらゆる要素がそろっている。牧歌的な気分のなかでゆったりと進む筋の運びは、優雅な…

シェイクスピアのことば

¶愛は時に仕える道化ではない。 (Love's not Time's fool.)上の言葉はシェイクスピアのソネット116番からの引用です。私たちの肉体は時に屈服して朽ち果てるかもしれないが、愛はそうやすやすと時の変化を受けるものではない、と愛の永遠を詠った後、シェ…

シェイクスピアの楽しみ方

¶ これまで10年以上開いていたシェイクスピア作品解説のサイトがyahooの都合で閉鎖になってしまった(有料サイトだったのに勝手なものである) また一から出直しだ新しく移転したサイトの紹介を兼ねて少しづつシェイクスピアのことを載せて行こうと思う~~…