まずいなァ・・・

10月に引越しを決めたのはいいのだが、何もかもが中途半端で困った。

窯垣の小径まつりにささやかな出品をして、瀬戸滞在の記念にしようと思っていたのだが引越しの準備と重なるのであきらめた。というのも工房の引越しは時間がかかりそうなので早めにはじめなければならないからだ。毎日時間はあるので少しづつ工房からアパートへ荷物を移しはじめている。ということはやきものが作れないということだ。工房が奪われるのは実につらい。工房がなくなるとやることがなくなってしまう。

う〜ん困った。丸一日荷物を担いでいると(まだ、そんなことはしていないが)きっと恐怖のギックリ腰になるのは火を見るより明らかだ。最近気付いたのだが(60過ぎてから気付いたのだから遅い)時間をつぶすのが大の不得手だ。

よく趣味は何ですかと訊かれるが、いつも答に窮する。好きなものがないとも言える。いや、ないわけではない。陶芸は好きだ。しかし、「好き」ということばが内に宿している含意と自分の気持が合わない。陶芸は「好き」ではない。陶芸は私の時間そのものだから好きとか嫌いとかいう対象にならないのだ。

芝居のときもそうだった。芝居が好きかと言われると、いつも戸惑った。戸惑うのは好きではないのだろうと迷っていたとき、画家と話す機会があった。話の流れで絵が好きかどうかという話題になった。画家は、絵は自分の仕事だから好きかどうか考えたことがない、と言下に答えた。私の場合芝居は仕事ではなかったが、同じだな、と思った。

所謂、趣味なるものがいつもこういう事態になるから、私にとって「好きなもの」は手からすり抜けてゆく。

まあ出来の悪いサスペンスドラマを観るしかないか。