胃の検診



夕陽が工房に射し込む
ふんわり浮かんだチリ一粒のなかに
太陽系、銀河系、いや宇宙すべてが
含まれているという
いや
おそらく三千大千世界にとってみれば
含むという概念さえないだろう
そこには内とか外とかはすでに存在しない
そんなのはユークリッド幾何学の埒内のかぎられた出来事だから


前橋市から桐生市へ住民票を移して初めて健康診断を受けた。前橋市ではかかりつけの医院でやってもらえたのだが、桐生市は集団検診のみだという。

勤めていた頃を思い出す。あの頃も集団検診だったので、ちょっと出遅れると大変待ち時間が長くなった。今回もそうだった。受付開始の8時半に行くとすでに50人以上が受付を済ませていた。集団検診なので胃の検査はバリウムを飲んでレントゲン撮影するやり方だ。これまた久しぶりだ。レントゲン台に乗って指示された通りからだを動かす。窮屈極まりないのだが、なぜかちょっと楽しい。

10時にようやく撮影を終えた。

スーパーが開いたので買物をした。レジを出たところに本売り場がある。ふと「ラジオ深夜便」という雑誌が目に入った。買ってきて読んでいると終末期医療に携わっている医師がプエブロ・インディアンの詩を載せていたので、ここに転載する。


今日は死ぬのにもってこいの日だ。
生きているものすべてが、わたしと呼吸を合わせている。
すべての声が、わたしの中で合唱している。
すべての美が、わたしの目の中で休もうとしてやって来た。
あらゆる悪い考えは、わたしから立ち去っていった。
今日は死ぬのにもってこいの日だ。
わたしの土地は、わたしを静かに取り巻いている。
わたしの畑は、もう耕されることはない。
わたしの家は、笑い声に満ちている。
子どもたちは、うちに帰ってきた。
そう、今日は死ぬのにもってこいの日だ。
(『今日は死ぬのにもってこいの日』ナンシー・ウッド著、金関寿夫訳、めるくまーる)


最期はこんな風にありたいものだ、と思う。






いつもおつき合い下さりありがとうございます。応援よろしくm(_ _)m
画像をクリックしてランキングサイトが表示されれば投票終了

人気ブログランキングへ



にほんブログ村 美術ブログ 陶芸へ