緑のどどめ
すぐ前の草原に桑の古株が5本古老の出で立ちで立っている。
近づいてみたらすでに桑の実が生っていた。
あとひと月もすれば熟して紫のどどめになるだろう。
今日明日と赤津、窯の里めぐりだ。窯ごとに空気が違い、それを味わえるだけでも楽しい催しだ。この空気はどうやって生まれるのだろう。
おそらく自分では永遠に気付くことのないものだろう。それはひとと話しているときに感じ取れる《人柄》と似ている。すべてが「何となく」感じられるものであり、さしたる根拠はない。だが、ひとはその「何となく」に大きく突き動かされて生きているのだ。
私の山房にはどんな空気が流れているのだろう。永遠に知ることのできないものと知りながら、知りたい……と思う。