噺家発見(いや、発掘)

もちろん、私のなかでの出来事にすぎないが……。

NHKの深夜放送で落語を何席かまとめて放送していたので録画しておいた。暇が出来たので今日見た。日本の落語界はもうだめか、と嘆かずにはいられなかった。

妙に偉そうに間を取る、もったいぶった調子でしゃべる、など、みな立川談志のまね(あるいは、媚)なのだろうか。それでも談志が面白いなら許せる。大御所と持ち上げられているらしいが、一体あの芸のどこが大御所なのか?こういうのは大抵、裏で政治力が働いていることが多い。落語はお上への抵抗の芸なのだから、そこに権力の論理を持込んではならない。ま、根拠に乏しい話だから止めておこう。

だが、そのなかで一人だけいい噺家を発見した。柳家権太楼だ。今日聴いたのは「宿屋の仇討ち」だ。実に間がいい。笑いはこうでなくてはいけない。そして、芸に花がある。座がぱっと明るくなる。時々、亡くなった桂枝雀の表情や声音を思わせたり、釣りバカのハマちゃんを思わせたりする。とにかくノリがいい。残念なのは、アル中のせい(?)か所々口が回らず話を聞き取れない部分がある。だが、それさえもが芸のうちと納得させられるだけのふところの深さがある。今度は実演を聴きに行きたい。