時節の窯変

あらゆるものにはそれぞれの時期がある。生まれ、育ち、熟し、そして、遂には、衰えて行く。そういう時の継承は宿命として受入れられて来た。だが、楽しみの時節は実にきまぐれだ。そのきまぐれさ加減は丁度、よくできた器の左右非対称のように、予期や期待をあざやかに裏切り、時には非情に、そして、非人情に、おのれを追求する。誰もその非対称を論じられない。なんとうとましいことか、なんとあっぱれなことか。