動く美の衰退?

若い女性のファッションは実に美しい。ただ、立ち止まっているときのみ。ひとたび歩き始めるや否や、美は一瞬に滅ぶ。昨日も階段をおりる時のけたたましいヒールの音がホールに轟ろいていた。所作は若者の美の範疇にはないらしい。歩行の所作、座臥の所作、食事の所作、戸口の所作、そういうものにこそ誰にもまねることのできないそのひとならではの美があるのに、雑誌のコピーばかりではさみしくないかい?

もはや、美は述語ではなくなってしまったのだろうか?

もちろん、述語の美を至極当然な身のこなしとして生きている若い女性もいる。問題は外面をどのように捉えるかだ。鏡は外面を正確には捉えていないことは周知の事実だが、はたしてどれほど周知されているのだろうか?