「ゴーストタウンの花」を観た

録画してあったテレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞を受賞した「ゴーストタウンの花」を観た。
よかった。あっけない終幕に物足りなさを感じもしたが、それを含めてよかった。
これこそが《ありふれた奇跡》ではないか。そう思った。
山田太一氏のドラマではのっけから自殺のモチーフが露わになっていたが、今回の受賞者、福田健一氏の作品では、複雑な家族構成や興廃した高校生活のなかで健気に生きるひとりの愛くるしい少女を淡々と描きながら、彼女がボーイフレンドの家で勉強しながら眠りこけてしまった姿のなかに自死のモチーフをあぶり絵のように潜り込ませた手腕がすばらしい。
ありふれた奇跡」ではテーマがこれ見よがしにぎとぎと光っていたが、「ゴーストタウンの花」では同じテーマを若者のありふれた生活の底にひたすら埋れさせた。だからこそ《ありふれた奇跡》を可能にしたのだ。
それが出来たのは、もっとも恐れなければならないのは死への衝動を本人が自覚していないということだ、という認識を出発点にしていたからだ。その起点がこの作品を深いものにした。
ここに描かれるやさしさは空気のように淡い。それが却って実感を伴っていた。
ポジフィルム時代のエクタクロームを思わせるオレンジ系が勝った色彩は何を狙ったのだろうか。今でも謎だ。
福田健一氏のことばはここにあります。




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