お昼

キャビン氏の事務所に用事があったので行ったついでに近場で食事の美味しい店はないかと尋ねると、すぐそこにあるという。
魚屋をやっていて、中心は宴会だが、行けば食事も出してくれるという。
というわけで行ってみた。
すごいところだ。
この道は何度も通っているはずだ。キャビン氏から聞いていなかったら、店だと気付かなかったろう。外もすごいが、中もすごい。
鮮魚店のはずだが、入って一番先に目に着くのはビニール入りのみかんである。雑貨屋風である。いや、もっと正確に言うとお店には見えない。普通の家の玄関に上がり込んだ気分だ。ちょっと気持がひるむが、ぐっと堪えて声を掛けると女将らしき女性が出てくる。
ご飯食べられますか、と訊くとランチがあるという。海鮮丼と鉄火丼の2種類のみ。
さっそく上がり込む。たぶん宴会に使う座敷なのだろう。座卓が真ん中にどんと置いてあり、廻りには座布団が敷いてある。部屋の隅には座布団の山が積んである。座椅子もある。籐椅子もある。雑然としている。でも、いい感じだ。
まず突き出しが出てきた。蒸したたらこと菜っ葉のワサビ漬だ。これまで60有余年ワサビ漬というものは口に合わないと決めてかかってきた。たぶん何度かは口に入れたのだろう。そこで私には食すことの可能な食材ではないと決定していた。
何となく、これは運命のいたずらなのだろいうか、なにかに押されたような勢いで禁じられた食材を口に入れてしまった。
む、む、旨いではないか!自家製のワサビ漬だという。参ったなァ。いままで食べずに来て損したな。
こういう思いをするのは二度目である。
最初は大学院の時だ。
鯉が苦手だった。それから川魚は苦手と勝手に拡大解釈をしていた。当然、鰻もその禁忌リストに入っていた。みんなが食べても私は食べなかった。
ある日、風邪気味だったので精を付けようと考えたのだろう。中野坂上だったか中野中央だったか鰻屋にふらふらっと入って鰻を注文していた。
薬だと思いつつ食べてみたら、最高に旨いではないか。
あの時も、嗚呼何たる損失!と来し方を悔んだものだ。
今回は鰻ほどではなかったが、ちと残念な思いをした。
前置きが長くなった。
海鮮丼は絶品であった。
女将、曰く。うちは宴会と魚屋が主だから、食事はどうでもいいんだ、と。すごいことを一見の客に言ってのける。でも、味はいいよ、と付け加えるのを忘れていなかった。
採算度外視1250円の巨大ホタテ入り海鮮丼は女将のことばに違わず、美味であった。
今度は焼き魚を食べに来ようかな。
それとも刺身を買いに来ようかな。
帰りしな来年の暦をいただいてきた。



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