遠野物語

ちょっと気になってこの間から読み始めた。
序文


無数の山神山人の伝説あるべし。願はくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。この書のごときは陳勝呉広のみ。
陳勝呉広(ちんしょうごこう)」は知らなかった。ものごとのさきがけを意味するようだ。
いや、小林秀雄の講演(30年以上も前のことだ)で、彼が例のべらんめえ調でこのことばを口にしていたことをふと思い出した。あの時も意味を教えてくれたはずだがすっかり忘れている。
忘れものの達人である。記憶力が衰えている。参ったのは弟に鮭をもらい、さあ焼こうとガスレンジのグリルを引き出すと網がない!最近全然使っていなかったのだが、網だけどこに消えたのか?大体あんなものをどこかに仕舞うはずがない。
でも、まったく思い出せず、仕方なくフライパンで鮭を焼いた∴ん窯の五郎である。
そんなわけだから陳勝呉広はちと手強かったか。
閑話休題
大分前のことだが、前橋にこぢんまりとした劇団をやっていたとき、仕事の都合で出られないと言っていた役者が急に出られるようになったから役をくれと言いだした。
もう稽古は大分進んでいた。そこで誰ともからまない役を大急ぎで書いた。飴売り婆さんの役だ。ひょいと出てきて、昔話をし、ひょいと去ってゆく。ある意味ではおいしい役どころだ。
ちょうどそのころ角川文庫の「遠野物語」を読んでいたので話はすぐに思いついた。題材は三番目四番目の話やその他いくつかの話をもとにした。自分では割合気に入っている。
ここにその飴売りの物語を抜き出してHPにしたのでご笑覧あれ。