晩春のフィールス

はいつくばっての作業をつづけた結果、腰がダメになった。動くのがやっとの状態になってしまったのでしばらく静養だ。
すでに何度か書いているが、こういうときに思い浮かぶのがチェホフの「桜の園」の幕切れだ。


フィールス 《ドアに近づいて、把手にさわってみる》錠がおりている。行ってしまったんだな。《ソファに腰をおろす》わしのことを忘れていったな。なあに、いいさ。……(中略)……ほんとに若えお人というものは! 《何やらぶつぶつ言うが、聞きとれない》一生が過ぎてしまった、まるで生きた覚えがないくらいだ。《横になる》どれ、ひとつ横になるか。ええ、なんてざまだ、精も根もありゃしねえ、もぬけのからだ。ええ、この出来そこねえめが! 《横になったまま、身じろぎもしない》

《はるか遠くで、まるで天から響いたような物音がする。それは弦(つる)の切れた音で、しだいに悲しげに消えてゆく。ふたたび静寂。そして遠く庭のほうで、木に斧を打ちこむ音だけがきこえる。》
―幕―
神西清訳)

まったく「ええ、この出来そこねえめが!」である。



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