今週のお題「2010年私の漢字一文字」

あらたまってそう訊かれると思いつかないものである。



「独」



というところか。

独立の独、独占の独、独りの独。

独りはさみしいが、独りは充実している。15回目の引越のあと、しばらくのあいだ孤独感になやまされていたが、今は慣れた。ものを作るには独りが一番である。時間を独り占めできる。時間の色を自分色に染めたままでいい。ときには狂おしくなることもあるが、創造というのはそういうものだ。誰かが狂気なしの創造はない、と言っていた。狂気を日常に含んだ途端ひとは孤独になる。いや、孤独にならざるを得ない。
誰もが正気の身構えでいるところに狂気をちらつかせる勇気、あるいは蛮勇、あるいは、断念……道元ならば前後截断と言うだろうか、西行ならば歌を読むだろうか。
だが、一日中逸脱しているわけではない。脱線はいつもほんの一瞬である。
今日は茶碗に描込む文字を選び、稽古した。文字としてではなく文様として。漢字ではなくひらがなである。たまたま古唐津に「や」の文様を見つけたのでそれに倣った。
これが茶碗に描かれて果たしてどう映るのか……やってみないと判らない。想像力はからきしない。いつもやってみてのお楽しみである。
それも「独」の特権だ。