井戸盃作り
試験用の器がなくなったので井戸盃を作る。実際には井戸盃で成果を得ても、大井戸でうまく行くとは限らないのだがそうも言っていられない。
しかし、今以て私には井戸のわびさびが会得できない。柿の蔕のさびは分るが、井戸はどちらかというと華やかで豪壮な光の中に立つ印象がある。茶盌の歴史がそう思わせるのかも知れない。
芭蕉のさびやしをりなどもハラに落ちていないのだから仕方ないか……
竺土大仙の心 東西密に相附す
人根に利鈍あり 道に南北の祖なし
(参同契)
禅の話頭がそのままやきものにも通じる。特に冒頭の句(竺土大仙の心 東西密に相附す)がありがたい。南無。
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花守や白きかしらをつき合はせ 去来
華やぎ(桜)と老い(白髪)のさび色、回向返照