荒土の恩恵

最近、松江の粘土屋さんから唐津の荒土を買った。いわゆる「ばさい」土でそのままでは菊練りもできない。当然、ロクロを挽こうとしてもばりばりヒビが入る。こりゃ困った。もしかして粘土屋は質の悪いにせ物を送ってきたか?人間が小さいのですぐにひとを疑う。師匠に訊くと「もぐさ土はみんなそうさ。ロクロで挽くにはコツがいるんだ」とのこと。どんなコツかは明日土曜に教えてもらえることになったが、待ちきれない。ばさい、ということは水が足らないのだ。そこで例によって粘土を伸ばし、指でぽつぽつ穴を開け、そこにスポンジで水を含ませて、しばらく置いておく。やや、扱いやすくなる。そこで作った釉の試験用小型花活がこれだ。

だが、安心するのはまだ早い。ちょっと油断するとこんな風になってしまう。

こういう荒さ・粗さがこの土のいい点だから、そこを最大限に活かすしかない。ぐい呑みを作ってみた。これも釉の試験用だが、むしろ釉を掛けずに穴窯でこのまま焼締めたらいい味を出すだろうなあ・・・。

今夜の締めくくりは「蹲(うずくまる)」だ。古い伊賀や信楽の作品をまねしてみた。ひび割れもわざと入れた。割れているのは表面だけで内側にまで達していない。それに釉を掛けるから水漏れはしない。さて、どんな焼き上がりになるか?楽しみだ。