行ってきました楽茶碗展


なかなか実物にお目にかかる機会のない長次郎の楽茶碗を見てきた。いくつかの写真集で見たより実物の茶碗の光沢は控え目な感じだった。

楽代々の作も展示されていたが、やはり長次郎が雑念を感じさせない味があり、圧倒的にすぐれていた。15世の作などは見るも無惨な感じがして、楽家を継ぐこと、いや、芸を継ぐことの難しさを感じさせた。

残念だったのは自由奔放な作風の光悦の茶碗がひとつしかなかったことだ。京都の方でやっているから行けばよいのだが新幹線嫌いな上に出不精の私にはちょっと難しい。

今日の展示会から受けた印象は、ロクロを使わない茶碗作りの静かさと、赤楽の釉調が実に変化に富んでいること、黒楽がしっとりしていることだ。約800度という低火度での焼成だからなし得た奥行だ。これをSK10(1300度)でやろうとしてもなかなか難しい。ロクロ目を一切もたない肌の柔らかさの魅力を改めて感じた。もちろん瀬戸黒の雄渾にも他を寄せ付けない凛とした空気はあるのだが、楽茶碗から漂い出る匂い豊かな時間には及ばない感じがする。