やってしまった

これが何だか分るだろうか?

もちろん熔岩ではない。

こうなる予定の器だった。ところが粘土が火に弱いものだったらしく、結果は無惨にもつぶれてしまった。同じ土、同じ釉薬でも焼く場所(窯の番地)で表情はまったく違う。今回は試験用のぐい呑みを大量に作ったので、同じものを、一番温度が高い2番地、中ぐらいの5番地、一番低い9番地に置いて焼いてみた。

土に耐火度があると2番地でも大幅な窯変を起してこんな風に「鬼」になるがつぶれはしない。

同じ釉でも5番地になると、がらりと変り、美しい表情を見せ、

一番温度が低い9番地ではさらにおとなしくなる。

写真では5番地と9番地の違いはあまり出ていないが実物を手に取ると違いははっきり分る。まさに炎のなせる業だ。だからうっかりするととんでもない色や表情の器になってしまうし、逆にそれが得も言われぬ味わいになることもある。半分は人間の業、半分は炎の業……そこが陶芸の奥深いところだ。

話変って、この間もらって水簸した藁灰が乾燥した。量ってみると約200gだ。これで乳白釉を調合してみよう。試作品の出来が楽しみだ。