いざ、さらば瀬戸

波瀾万丈の一年半だった。私には10年に思える。それだけ充実していた。

舞台でも似た感覚を味わう。例えば一年前にやった芝居を思い出すとき、もうずいぶん昔のことのように感じる。それでも瀬戸での充実感と舞台の充実感は微妙に違う。強いて言えば舞台の充実感は時の中にあって、瀬戸での充実感はものの中にある、とでも言おうか。どちらも等しく愛おしい。

むかし中国の禅寺を訪れた居士が寺を辞するとき、見送りに出た修行僧に「好雪片片不落別處」の句を投げかけた。ひとりの僧が「別のところに落ちないとするとどこに落ちるのでしょうか」と間の抜けた応対をして叩かれた。私でも叩くかも知れない。

今は秋、雪は降っていない。それでも私には好雪片片不落別處の景色が見える。愛おしいものすべてに雪はひとしく降る。

次に好雪を見るのはいつだろう。自分の窯でやきものを焼いたときだろうか。

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