F1の偉業?
月曜早朝F1GP最終戦となるブラジルGPが放送された。朝の4時までつき合う気力はないので録画して後で鑑賞した。F1を見ながら心臓がバクバク音を立てたのは久しぶりのことだ。マッサ(フェラーリ)が母国で総合優勝か、と誰もが思ったその瞬間、ペースが上がらず順位を6位まで下げたハミルトンにグロックがどうぞお先にとばかりスローダウンして、フェラーリはマクラーレン・トンビにあぶらげをさらわれた。
面白かったが後味はよくない。トヨタはマクラーレンに借りでもあるのか、あるいは、ここで大きな貸しを作ったのか、という憶測が流れている。グロックはどうにもならなかったと言ってはいるが真偽の程は神のみぞ知るだ。私も見ていて不自然さを感じた。どんなズルズルのタイアになっていても最終コーナーまでもてば、レーサーは気力で車をチェッカーまで運ぶものだ。グロックは生涯このことを言われつづけるだろう。
ひと昔前のF1だったらスピンしてレースを失ったとしても(実際には最終ラップまで走っているから完走扱いになるが)アクセルを弛めることはしなかった。例えばアルボレートやマンセルにはグロックの所行は信じられないだろう。ああ、なつかしい名前だ。F1にもこんなやんちゃなドライバーがいたのだ。
しかし、ピットから指示したりすればすぐに露見してしまう。やるとすればグロックの判断しかない。あの状況で自分が譲ればハミルトンが総合ポイントで1点だけマッサに差を付けられるなどと計算する余裕などないだろう。また、はるか前方でマッサが1位でチェッカーを受けたことも知るよしもないだろう。
だから、ハミルトンは偶然のいたずらで優勝できたにすぎない。偉業などと大騒ぎするのは滑稽だ。そもそも優勝回数が少ない方が総合優勝できてしまうポイントシステムが間違っていると私は思うのだが、いかがだろうか。
でも、最近まったく魅力を失ったF1だが、ポイントの取り合いという点では面白かった。これでマッサとハミルトンがコース上で1位を争っていたのだったら最高のGPだったのだが・・・。