グレン・ミラー物語

先日カインズホームのワゴンで買ったDVDがある。

グレン・ミラーコール・ポーターサッチモルイ・アームストロング)の音楽家三人とキューリー夫人の伝記映画四本が収録されている。
コール・ポーターを扱った「夜も昼も」は悲惨な映画で、映画のカット割りはもしかすると安いDVDだったから適当に途中をはしょっているのではあるまいかと思うほど急ぎ足だ。監督はショーの場面だけを見せたかったのだろう。だが、肝心なショーも退屈だったし、主演のケーリー・グラントの演戯も退屈だった。いい男は気の抜けた芝居をしても許されるのと信じているかのようである。
一方「グレン・ミラー物語」は音楽映画としてはよくできている。なりより素晴らしいと思ったのはグレン・ミラーサウンドといわれた独特の音色を発見するまでの過程をじっさいのバンドの演奏で辿れるところだ。
大事な演奏会の前日、主旋律を吹く予定のトランペッターがちょっとした不注意で唇を切ってしまう。演奏会は延ばせない。
バンドには有能なクラリネット吹きがいた。ミラーは今までのフルバンドの常識を覆してクラリネットにリードを吹かせる。その時に例の「ムーンライト・セレナーデ」がグレン・ミラーサウンドで鳴り響く。
失敗や事故は発見の宝庫だ、という叡智を絵に描いたような展開である。ある程度は実話に基づいているのだろう。
こういう場面は見ていて幸せな気分になる。励まされる気もする。
ジェームズ・スデュアートがいい味を出している。この俳優は謂わばアメリカの田中邦衛だ。ヘタウマの役者である。演戯巧者が逆立ちしても出せない味を飄々と出す。楽しい。
また、サッチモの演奏もハスキーな歌声も楽しめるからさらに楽しい。
もちろんすべてがハッピー、ハッピーというわけには行かないのだが妻役のジューン・アリソンが深みのある芝居で、断ち切れた輪を丸く収めてくれる。
キューリー夫人の映画はあまり気が進まないが、サッチモの話は見てみたい。
お買い得なDVDだ。




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