声のふくらみ
最近は仕事中にFMを聴くことが多くなった。合わせる周波数は79.5MHz。語呂合せでナックファイブ(Nack5)というラジオ局名になっている。
埼玉県の局なので群馬でも聴ける。
この数字に何となく見覚えがあったので調べると愛知にも同じ周波数の局があった。たぶんそれを聴いていたような気がする。
おもしろい偶然だ。
気に入っているのは週日9時から1時までのFresh Up 9と土曜午後のHits! the Townだ。
声は不思議だ。声だけで聴く世界の広がりと、TVなどで顔を見ながら聴く世界の広がりがまったく違うのだ。
情報は少ないのに声だけの方が広がりが大きい。
どうしてだろう？
ラジオは妖精エコーの領域だ。
エコーは木魂を意味するechoの語源となる神話中の妖精で、ナルキッソスに恋するが相手にされず、片恋の苦しみからやせにやせて、とうとう体がなくなり（この辺りが神話のすごいところである）声だけになってしまったという。
からだを持たない妖精を現代技術で作り上げたのがラジオだ。
もっとも、エコーは女神ヘラの怒りに触れて相手の語尾しか話せない罰を受けているから、ラジオはその点まったくエコーではない。
でも、番組の多くが聴き手の手紙や矢文の朗読に費やされているところをみると、やっぱりエコーなのかな、とも思う。
今日は体調不良につき干して、しまうだけの一日だった。「桜の園｣ではないが、この、できそこないめが！
