なつかしい人々
訓練校の先輩のだっちさんの情報で昨日NHKの新日本紀行で瀬戸の特集があることを知り、録画しておいた。
うれしかったのは赤津の宇助窯が大きく取り上げられていたことだ。何度もお邪魔して、やきものの話をうかがうだけでなく、原土を分けていただいたり、縦軸土練機の使い方を教えていただいたりと、大変お世話になった。
ロクロで大皿を引く様子や、釉薬をバーナーであぶりながら厚く重ね掛けする姿に、普段の穏和な表情からはうかがい知れないやきもの師の情念を感じた。私たちには決して見せることのなかった別な顔を垣間見た思いがする。そこには長く重い宇助窯の歴史を引き継ぐものの姿があった。
もっとも感銘を受けたのは叩き棒で大皿に跡をつけるその動きだ。さりげない所作だったが、ほんの一瞬止めた手がつと返されたとき、何か不思議なものを見た気がした。私が何十年かかってもたどり着けない桃山の陶工の手がそこにあった。だから窯元と言いうるのだ、と思った。
そのあとになつかしいひとがのれん越しに現れた。
個人的なことは何を聞いても「ヒミツです」としか答えてくれないひとだったが、これで少なくとも年齢だけはヒミツでなくなってしまった。
やきものは作り手の気持がじかに伝わるので、楽しいと思って作らなければ、いいものは作れない。
そのことばが耳に残った。
11日の15時からNHKBS2で再放送されるそうだ。