ひょんなことから

今、豊川悦司中山美穂の「ラブストーリー」が再放送されている(ちなみに主題歌はスピッツの「遥か」)。あまり面白いドラマではないのだが、暇つぶしになんとなく観ている。今日は小説家が新作を書いたのでみんなで祝賀会をやることになっていた。だが、出版社の担当者や友人たちは自分の恋で忙しく、作家は忘れ去られている。そんな作家を見ていたらふとおとぎ話のような詩が浮かんだ。


 夜を身ごもる

昔その国では詩人は神さまだった
詩人が生み出すことばは世界を作った
新しいことばが生まれると詩人は巫女を呼んだ
国を挙げて誕生を祝った

詩人のことばですべてが動いた
詩人のことばで国を治め
詩人のことばで愛を語り
詩人のことばで死を弔った

そんな日々が何千年もつづいた
だが、つづくことには終りがある
詩人が呼んでも巫女は来なくなった
普通のことばを話す若者が新しい神になってゐた

間もなく年老いた詩人はすがたを消した
そのときはじめて夜が産まれたといふ