喜びの間

そろそろ秋の芝居の台本を書く準備をしなければならない。
とはいえ、実際に書くのは私ではない。変な言い方かも知れないがそれが実感だ。

ものを書くとき、私の中には次の間(ま)とも言うべき部屋が出来ている。書くのはその次の間に仮の書斎を置いている天のわざだ。私は、手を持たない天に代ってパソコンのキーをたたくだけだ。

論文にせよ、台本にせよ、そうやって書いてきた。だから私がまっさきにすることは天の書斎が降臨する次の間を作ることだ。それに失敗すると無理矢理ひねり出すハメになる。当然いいものは出来ない。

次の間を用意するにはひとつしかない。自分を喜ばせることだ。そうすると、どういう具合かは天のみぞ知るであるが、次の間がいつの間にか生まれ、その中で仮の書斎が魔法のじゅうたんのようにいろいろな場所へと動きまわりいろいろなモチーフを拾いあつめ始めるのだ。

苦しんではいいものはできない。いいものは喜びの間から生まれるのだ。それはやきものも同じだと思う。こっちの方はまだそれを実感できないけれど。

自分を喜ばせること。言うは易く行うは難し、である。こういう事態に臨むと自分は意外に(いや、意外ではないか)貧乏だと感じる。喜んではいけない、ぜいたくはいけない、という妙な禁欲意識が働く。しかし、創作は精神の貴族のみがなし得ることだ。そんなことではだめだ、もっと豊かであれ……。葛藤がある。右往左往する。

こういうところで凡人は苦労するのである。(あまりこの苦労は分ってもらえない……ちょっとカッコつけて言うと、作者はいつも孤独である)

ともかくそういう時期に差し掛かってきた。同時に花粉症もやって来るのだろうか?



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