書き忘れていた

毎週観るのを楽しみにしていた「幸せになろうよ」が6月27日に終った。

途中からどろどろの人間模様でコメディの世界を堪能させてくれていたのだが、終りになって不意に現実的な終熄をしてしまったのが残念だ。

これはコメディなのだ、最終話のクライマックス、巨大なオフィスフロアでのプロポーズという舞台を設営するだけの遊び心があるのだったら、ついでにもっと遊んで欲しかった。

可能性はたっぷり用意されていた。少なくとも5組のカップルが同時に結婚(再婚を含め)出来た。そうすれば、シェイクスピアの『空騒ぎ』のような、いや、もう少し正確に言うと、ケネス・ブラナー演出の『空騒ぎ』のような、幸福感あふれるエンディングになったのに、と思う。

おそらく、現代人はそんなには楽天的にはなれないと見限っているのだろう。タイトルでは「幸せになろうよ」と誘っているにも拘らず……。その辺りがTV人間のこざかしいところだ。哀しい志である。

最近、演出が低迷している。役者が下手なのはしかたがない。役者は試練を乗越えて初めて味を出せるのだ。演出が試練を与えられない。手持ちの駒で勝負してばかりいる。これでは役者は育たない。そんなことではTV業界もろともに下落の一途をたどるしかない。

だからだろう、2時間もののサスペンスのひどいこと。内容がないから、画像処理にばかり時間を費やす。志が低いからそういう迷路に入り込んでいることに気付かない。

また、TVドラマの批評するひとがいない。だから、出来不出来に関係なく垂れ流ししているだけである。
よくあれに広告を出すなぁとも思う。

そのうちにTVにはあまり広告が集まらなくなるのではないだろうか。お金を出す方も媒体を選ぶ時代になってくるだろう。