縁は異なもの




朝5時半
稲田にうっすら朝日が差し始めている


10日、11日(土、日)は「眼は横にあり、鼻は縦に付き」の終日稽古。
途中から助っ人の男性と女性が加わり、気分も一新である。

今回の稽古で「縁が作る」ということを思った。

今回の土日稽古の目標は今回の芝居の前半に出てくる歌を作ることだった。才能のある役者が前もって台本の歌詞にメロディを作っておいてくれた。彼女はこれまでも素晴らしい節を作ってくれているのだが、譜面は書けない。彼女にだけ判読可能な不思議な記号が台本に並んでいて、それを見ながら歌ってくれる。それを私が楽譜に移す。

今回の作は惹句のモチーフが非常によかった。それを拝借してあとをつづけてみた。私の場合、メロディと同時にハーモニーを作る。だが、哀しいかな絶対音感がないので音高が分らない。何か基準になる音さえ分ればあとは自分でできるのだが……と役者たちに稽古として借りている公民館の和室を探してもらうと遊戯に使うのだろうか子供用の小さなピアノが押入の奥に眠っていた。無断で借りてしまって申し訳ないのだが、ちょっとだけ使わせていただいた。音はもうほとんど鳴らなくなっていたが、かろうじて高さは確認できた。厳密な調律ではないだろうがだいたい分れば先に進める。

まず、三人分のハーモニーを書いた。

するとそこに遅出の役者と囃子方が登場。五人分のハーモニーに増やした。

短いフレーズが濃密な和声で充填された。

あとで思ったのだが、もしあの時助っ人の女性が来なかったら、もしあの時遅出の役者たちが来なかったら、もし、あの時古ぼけたおもちゃのピアノが見つからなかったら……今回のあの曲はできなかったろう。

その場の縁が生んで行くのだ。音楽という不意に湧いて流れ去ってしまうものを繰返し可能な形に留めるのが作曲というものだが、ふとした縁が思いも寄らない贈り物をしてくれるのだな、と感じた週末だった。

ただ、私たちはいくつかの稽古場を点々としている。いつもおもちゃのピアノがあるとは限らない。そこで思い立って小さな電子キーボードを買うことにした。週末には届くだろう。






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