削りは楽し
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いよいよ花粉の到来か
昨日から鼻水ずるずる
さきほど湯呑を削る。最近湯呑ばかり作っている。これでは∴ん窯ではなく湯呑窯である。
早く土を決めたいと思う。試験ばかりの日々もよいが、これぞという茶碗を作ってみたい。焦ってもろくなことはないが……。
大分前に山間の村の診療所の医者の暮しを綴ったドラマがあった。題名を忘れてしまったが、Dr.コトーではない。もっとずっと前のドラマだ。診察はあまりせず、ほとんど釣りをしたり、酒を飲んだりしているような先生である。ひょうひょうとした生き方に惹かれた。陶芸の道に入ったのはそういう夢もあったかも知れない。
朝作ってあとは悠々自適……
∴ん窯は製陶所ではないので一日中ろくろに向って作りつづけることはない。第一そんなに作っても結局産業廃棄物を増やすばかりだ。だから朝作ってあとは……というところはいっしょなのだが、夢と現実はずいぶん違う。いつも途方にくれていて悠々自適とはかけ離れているからだ。
時間の過ごし方でその人の生き方が分る。結局、私はどんなに時間がありあまっていてもあくせく生きてしまうような気がしてならない。ああ、人間が小さいなァ。