教室の犀
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なかなか山房が片づかない
散らかしの天才
ああ、片付け上手なひと求む!
大分前の話だが、「教室の犀」という本をたまたま図書館で見つけた。衝撃が走った。
私の音楽に対する考えが根底からくつがえされた。また、美に関しても革命的変化が起った。
著者の名はマリー・シェイファー。
たまたま知人と行っている勉強会で彼の名が出たので、久しぶりにその本を手に取ってみた。英語名はThe Rhinoceros in the Classroom。和訳は今手元にない。
amazonで調べてみて驚いた。中古本の値段が58,995円である。原書の値段も6000円以上する。実はこれは本というよりほとんど小冊子だ。中身は60頁しかない。それが6000円もするとは!
骨董品、ということなのだろう。
もちろん内容が素晴らしいからこういう値段が付くのだが、私の思いはそれとは別なところにある。
もうそんなに生きてきたのか……という思いだ。ひとは失われた時を求めて生きることがある。骨董品の値段は失われた年月の値段でもあるのだ。
感慨無量というべきか……いや、ちょっと切なくもあるなあ。この本をイギリスから直輸入したのはまだ、つい昨日のことのように思えるのだ……