初雪
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さすがのソラー発電も
雪には勝てない
温水器も動かない
起きてしばらくすると雪になった。
初雪である。
あわててタイアを雪用に替えた。泥縄ならぬ雪輪である。
雪はひるすぎに雨に変った。
それでも田や畑は一面の銀世界だ。ついこの間、射し込む陽射しが暑すぎてカーテンを引いたのがウソのようだ。
遊三が吹雪の坂道を登っていると
斜め上から声が聞えてきた
ゆうすげとほり
ゆうかげとほみ
その峠道は大曲になっていて初めて通るものはみな道に迷うのだ
ゆうすげとほり
ゆうかげとほみ
声はつづけて歌う
遊三は星が見えたような気がしたが
ここは鰍沢だ、そんなはずはないと打ち消した
星が見たけりゃ空を見よ
声はまだ歌っている
遊三は声を背中にしょって歩きつづけた
ゆうすげとほり
ゆうかげとほみ
不思議なことに峠には満天の星が輝いていたのだが
遊三はまだ気付かなかった
