卒業論文、修士論文を読む。

口頭試問の日が迫っている。私が主査、あるいは副査で審査する論文の数はさして多くはないので、比較的悠然と読んでいられるのはありがたいのだが、アラが見えて仕方ないのは困ったものだ。

分析と言いながら単に表面の意味や筋を繰り返すだけの論文、考察と言いながら、作者が搾り出すようにして編んだ精緻な文章から単純な一般論を引き出すだけの論文、人物像を探ると言いながら、あらかじめ用意された登場人物の成長物語の神話を繰り返すだけの論文。またしても已んぬるかな、だ。

どうも今日は犬儒的な日らしい。