色見の不思議

窯焚きの最終段階で、いつ鎮火するか判断するために窯から陶片を引出して観察する。それを色見という。だが、言葉に引きずられて釉や土の色を見るものだと思うととんでもないことになる。
これがその証拠だ。
土も釉薬も同じだ。左側が1220度で引出したもの。右は900度近くまで下がってから引出したもの。

土の色といい、釉薬の色といい、同じものでこんなに違うのだ。色見は色を見るためのものではなく、釉薬の融け具合を見るためのものである。

これまでの経験で、900度くらいで引出した色見はだいたい窯出しした器と同じ色合いになるから、今回焼いた小湯呑は右側と同じ感じになると予想される。