「雪ふる逢へばわかれの雪ふる」(山頭火)

山は雪だそうだ。好雪片々不落別所(こうせつへんぺん、べっしょにおちず)。

いよいよスキーの季節だ。しかし、想像力がまだ山の季節に追いついていかない。玉村は晴天だ。雪の気配さえない。それなのに、尾瀬は、野沢は(現地の画像を見ると)視界が利かないほどの雪のなかだ。

白銀の世界には独特のイディオムがある。ノースロップ・フライがシェイクスピアの森を幸福な不思議に満ちたGreen Worldと評したように、白銀世界は平地からの別れ、生からの別れ、重力からの別れ、様々な別離を含んだ不落別所のPlatinum Worldだ。

雪は突然やってきて差別界を無重力な無差別界に変える。この解放感ゆえに雪山は危険なまでの魅力にあふれる。

帰りなんいざ、不落別所へ!