はたしてどうだろう?
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曇でも
道路は暑い七月はじめ
「へうげもの 名品名席」で紹介された上田宗箇 御庭焼茶碗 「さても」、中島氏は胴の豪快さと打って変わった見込の繊細さを褒めたたえていた。その点異論はない。
たしかに胴は武将らしい豪快なヘラ削りである。しかし、見込は氏の言うように果たして作りの際の指跡だろうか?
実物を見ていないので何とも言えないが、作りは楽茶碗風に板おこし、手びねりのように見える。とすると、見込は丸カンナで削った跡ではないのだろうか。映像で見る限り、指跡にしてはあまりに整いすぎているし、第一深すぎる。口辺内側などはあきらかにカンナ跡が見受けられる。
長年鑑定をしてきた氏の眼の方が私よりは確かだろうから、間違うことはない、と信じたいのだが今回ばかりは疑念の方が大きくて納得がいかない。やきものをやっているものはあれを指跡と見ることはないように思うのだが、どうだろう?