窯出し
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はっきりとした夢を見た
のだが
思い出そうとしても思い出せない
もう一つの夢は一部だけはっきりと覚えている
私の名前は
井伊加減頭(いいかげんのかみ)軽風(かるかぜ)
一体どんな人物?
朝、窯出しをした。
1200度では高すぎたのか、あるいは、最後のねらしが長すぎたのか、あるいは、窯の雰囲気の問題か、あるいは……あるいは……
迷いはつづくいつまでも
これではないことだけが確かであり
否定の不確実性は肯定をもたらさない
それは
焼成中の窯の中での出来事を
誰も知ることができないのと同じくらい確実だ
還元では緑色に変化してしまうし、一体どうやれば焦げが出せるのだろう?
もう一つの釉なら焦げはたしかに出るのだが、茶碗としては釉調が不満である。
そのうちに
そのうちに