黄伊羅保窯出し
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大滝秀次の「無名」を観た
こういう質の高い作品に仮令ちょい役にせよ、台詞もろくに読めない女優気取りが出るとすべてが台無しになる
ちょっと無念
ちょっといい感じかな。開けた瞬間の感想だ。
大抵は開けたとたんがっくり……というパターンだが、今回は窯神様のお慈悲か、あるいは、気まぐれか、いい感じに焼けた。方向性が大分見えてきた感じがする。
一番気に入ったのは黄伊羅保小湯呑だ。色が自分のイメージにかなり近づいてきた。
写真で見るのと実物では大分感じが違うのでうまく伝わらないのが残念だ。
灰がいい具合に融けて黄色や焦げがバランスよく出た。
同じ土で茶碗を弾いたのだが、そちらは小湯呑ほどいい発色はしていない。置いた場所でかなり左右される灯油窯の宿命だ。
こうやって写真で見るとなんだかボテッとしていて美しくない。ちょっとがっかりである。ろくろの腕がまだまだである。それでも高台はいい感じに作れたのではないかと思う。伊羅保の約束、高台内の釘彫りは何度か試してみたがどうもしっくり来ない。完全コピーを目指しているわけではないので自分の感性を信じて一番美しいと思うものを作りたい。
作りの段階で、おっ、いい柿の蔕になった。と喜んでいたのに…………
施釉のとき、手がすべり割ってしまった。せめて釉の試験にと焼いてみたら、皮肉なことに上がりが結構いい。まったく皮肉なものだ。
全体の感想は、ちょっとだけ焼きが足らないかな?という感じである。釉もやや薄すぎるかな、という印象がある。ただどうやれば濃く掛けても妙な発色にならない釉になるのか調合を試してみる必要があるので時間が掛りそうだ。
取りあえず順調に焼けたことを感謝しよう。
というわけで、今明日の窯焚きに向けてあぶりの最中。また、施釉は深夜かな?