今日のシェイクスピアは『タイタス・アンドロニカス』


この作品はあきらかにシェイクスピアの習作時代のものだ。作品を独立した劇として見るより、これから開花するつぼみを楽しむような気持で味わった方がよい。作品として見ようとするとどうしてシェイクスピアがこんな劇を書いたのだろうという疑問ばかりが湧いてとても作品鑑賞どころではなくなるからだ。『タイタス・アンドロニカス』はシェイクスピア劇の原型を楽しむ劇だ。タイタスにはわがままなリア王、だまされやすいオセローの面影があり、タモラにははかりごとに巧みなマクベス夫人が、またアーロンにはイアゴーやドン・ジョンに通じる悪の原型が宿っている。また狂ったふりをして復讐の機会をうかがうのは『ハムレット』の原型でもある。
それにしても、シェイクスピアがこの程度の作品しか書いていなかったら歴史に名を残すことはなかったろう。だが、シェイクスピアは二度とおなじあやまちは犯さなかった。それが天才の天才たるゆえんだろう。シェイクスピアが何を学び取ったのかを知るには素晴らしい標本と言える。



AARON. If one good deed in all my life I did,
I do repent it from my very soul.
(もし生涯に一度でも善を行なっていたら、魂の底から悔やんだろうよ。)
アーロンは死刑を宣告されても自分の行なった悪事を悔いない。それどころか、ゆるされるなら今までより何万倍もおそろしい悪事を働きたいとまで言う。そのすぐあとにつづくのがこの台詞だ。



1923年に行なわれたオールド・ヴィック座での公演の際、最後の殺戮の場面で観客が吹きだしてしまったという。あまりに理不尽な展開に理性がついてゆけず、馬鹿馬鹿しくて笑うしかなかったのだろうか。また、1955年ストラットフォードでピーター・ブルックが演出した公演(ロレンス・オリヴィエ、ヴィヴィアン・リー)では生々しすぎる演出に連日観客が失神して運び出されたという。もちろん、エリザベス朝ではこの作品は大人気だった。『タイタス・アンドロニカス』ほど現代とエリザベス朝とのへだたりを感じさせる作品もない。



長くなるのでつづきは⇒シェイクスピア全作品解説
覚えておきたいシェイクスピアのことば⇒ジャンル別シェイクスピアの名台詞集





不慣れな化粧をしたら・・・
ますますひどいことになった
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