琥珀の繭
今日は訓練校で在職者訓練の日だ。出たかったが今年は参加しなかった。 以前の職場に「美しい日本語」と題された県民公開授業(全11回)があるのだが、第8回目の今日の講師は私が30年近く追いかけている山田太一氏だった。 「ことばとの絆」という演題で話は…
昔、バイクで行った場所をときおり思い出す。薄暮の田園風景が鮮明に残っている。何県なのか、泊まった宿はどこだったのか、まったく記憶にない。 だが、もしかするとこの景色はいくつかの場所が記憶の中で混成されて作り出されたものかも知れない。最近、そ…
書くという行為には、話すことに比べ、時に抵抗する姿勢が歴然としている。 話しているときは時間の真っ只中に没入していて、自分が話していることさえ自覚していないものだ。気がついたら、おっ、もうこんな時間だ、などということがよくある。 一方、書く…
今年は一年が三年分くらいに長く感じられた。 今年は振り返ると四つに区切られる。 まずは訓練校の卒業で一区切りがついた。 卒業と同時に、それまでは二人、三人で窯焚きしていたのが、一人だけの窯焚きになった。自立してはいないものの、工房で作業してい…
Every creator painfully experiences the chasm between his inner vision and its ultimate expression. (Isaac Bashevis Singer) (作家は誰でも心の中で思い描いたものと生み出したものとの隔たりを痛いほどよく知っている)ポーランドに生まれ、33歳で…
不意に思い出した、父親が毎年正月同じ友人と旅に出たり、お互いの家を交互に訪ね合ったりしていたことを。 TBSの深夜番組「落語研究会」で立川志の輔のえらく長い枕のなかで、毎年落語家仲間の春風亭昇太と海外旅行へ行く話が出たときのことだ。ああ、そん…
God gave us memory so that we might have roses in December. (James M. Barrie) (神は我々に記憶を与えた、12月でも薔薇を楽しめるように。)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 いつもつき合って下さりありがとうございます。 ランキン…
Edinburghで奮闘中のkaoruへの応援メッセージ The first mistake of art is to assume that it's serious. (Lester Bangs) (芸術についての最初の勘違いは、芸術をまじめなものと思い込むことだ。)論文もおんなじだ。私はいつも楽しくなければ論文ではない…
なんだかんだとウロウロしているうちにもう師走も三分の一すぎた。そんな中、親しい後輩が上司の理不尽な扱いを、身を震わせるようにして、訴えてきた。所謂パワーハラスメントだ。 話を聞いてみると後輩に非はない。精一杯の抵抗はしてみた、という。だが、…
何ごとにも終りがある。祭のあとにはさみしさが残る。 今、振り返るとチェッカー直前でガス欠になったマシーンを押してゴールした時代がやんちゃなF1を象徴している気がする。経費を抑えるためにエンジンを統一する?そんなワンメーク・レースのようなF1を誰…
行不由徑(ゆくはこみちによらず)あるいは(いくにこみちによらず) 先日、大漢和辞典の編者、諸橋轍次を紹介するコラムがNHKで放送されていた。上に挙げたのは諸橋の座右の銘である。 論語の一節で、大道をまっすぐ進みなさい。小道は近道に見えるかもしれ…
大統領を勝ち取ったとき、オバマ氏は次のように国民に呼びかけた。 Let us summon a new spirit of patriotism, of service and responsibility where each of us resolves to pitch in and work harder and look not only at ourselves, but each other. 気…
技術というものは生きているものを一旦殺すところから始まる。陶芸でも「土殺し」は一大事だ。これはたまたま殺すということばが使われている例だが、私たちを感動に震えさせる音楽でも、演奏家の側からすれば感動という生きている姿で音楽を捉えている限り…
高橋尚子が引退を表明した。小出監督から独立したことで選手としての寿命を短くしたように思う。私たちにはうかがい知れない事情があって独立を決意したのだろうが、独立と孤立は違う。Qちゃんのやり方は孤立に近かったのではないだろうか。練習方法も、若…